ツキイチ連載
漢方職人「東海林さん」の漢方メモ
長年の臨床経験の積み重ねで構築されてきた中医学を語る「東海林さん」 お店では漢方職人と呼ばれています。自然の影響も考慮した中医学の膨大な知識の中から、みなさんに有益な情報を伝える連載コラムです。
2009.04.16
ストレス溜まる春 「五月病」 の原因にも・・・
入学や卒業、就職、引越し、退職ー今までの生活がガラリと変わりやすい春。普段どおりの気持ちで過ごしているつもりでも、不安や緊張を感じる場面が多く、知らず知らずのうちに「頑張って」しまいがち!突然の頭痛や腹張・胃痛、イライラ感、食欲不振、吐き気、怒り易いなどは、ストレスがたまってきた証拠です。「健康診断では異常ないから」と思わず、体からの警告サイン(未病)を見逃さないことが大切です。中医学では、五臓の中で「肝(かん)」が最も春の季節の影響を受けると考えています。肝は「気(き)」のめぐりを司り「血(けつ)」を蓄えて、七情(しちじょう)[怒・喜・思・憂・悲・恐・驚]を整える重要な役割を担うもの。ストレスとも関係が深く、前述のストレス由来の症状は、肝の機能低下による「気」の滞りによってもたらされると考えます。さらに自然界の生物すべての気が旺盛になる春は、気の乱れが起き易く、環境の変化などの外的要因も加わって、ストレスが最も溜まりやすい季節といえます。いわゆる五月病が多く発症するのも、このためです。対策としては、肝血を補い、気の流れを整えること。春野菜を多めに食し、香りの強い柑橘類やハーブなどで、気の流れを改善しましょう。漢方薬の中では、気の滞りを改善し、胃腸の働きを整え、血液を補う「星火逍遥丸(せいかしょうようがん)」などがお奨めです。頑張り過ぎず、時にはリラックスするのが、春の養生法のポイントです。
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2018.08.16
熱中症対策 水分補給だけで大丈夫?
今年7月末時点で横浜市の熱中症による救急搬送は、昨年の倍以上で死亡者も出ています。気温室温が体温より上がると発症しやすくなります。程度により症状は様々。体温は正常で汗も出ている重症度Ⅰ度の熱失神や熱痙攣の段階なら、水分補給などの一般的な対応で回復も容易でしょう。体温が上がり、まだ汗は出ている段階がⅡ度の熱疲労。更に脱水が進んでⅢ度の熱射病の段階になると、もはや汗は出なくなり体温は40℃を超え、高度の意識障害が生じ、死の危険に…。熱中症で死に至るメカニズムは、脱水による臓器血流低下・体温上昇と、それに伴う多臓器不全です。一般的に夏は、心・脳血管疾患が減少すると言われていますが、猛暑時は例外で、気温が32℃を超えると心筋・脳梗塞が急増するという研究結果もあります。特に高齢者は体の水分保持量が少なく、容易に脱水状態になり、血液の粘度が増し、血栓も出来やすいのです。中医学で熱中症や夏の血栓を予防するには、「気陰両虚(きいんりょうきょ)」の改善と「活血化瘀(かっけつかお)」。「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」は、潤いを生む生津作用だけでなく、心肺機能を維持する「気(き)」を補う働きもあります。活血化瘀薬の「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」の組み合わせは、熱中症のみならず、夏の血栓予防にも最適ですね。
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2018.07.19
シルクロードで感じた日本の蒸し暑さ!
7月1日から研修で新疆ウイグル自治区のウルムチ~敦煌などシルクロードを巡りました。体験した日中の最高気温は45度の砂漠地帯ですが、湿度はわずか30%。気温が体温より高いため、熱中症予防の「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」を飲みながらの水分補給は当然ですが、汗をかいてもすぐに皮膚の熱を奪って気化するのでベタベタせず、気温が高くても辛さはなく、持参した霧吹きで水をスプレーすると、瞬時に蒸発するのでとても涼しく感じました。ところが、日本に帰った途端に体が重くなりバテてしまいました。気温が28度でも湿度が85%あると、蒸し暑いと感じる不快指数は高いのです。日本の夏に起こる不調の原因の一つがこの湿度。中医学では、自然界に季節特有の邪気があり、その侵入が病気の要因の一つと考えます。梅雨から夏に胃腸の不調や体の重だるさを感じる人が多いのは、主にこの湿邪のせい。体に侵入すると、胃腸の働きが低下し、食欲不振や下痢、吐き気、胃もたれを起こします。結果、食べた物がエネルギーにならず、夏バテ、重だるさなどの症状が現れるのです。湿邪から胃腸を守る「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」などを用いて胃腸を健やかに保つことが、酷暑を乗り越える秘訣ともいえるでしょう。
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2017.03.16
PMSと不妊の関係性
「陽気は良くなってきたのに、春は何故か気が滅入る」――そんなことを感じたことはありませんか?その原因は中医学で考えると「気(き)の滞り」にあります。気は体の代謝に関わる重要なエネルギーで、血(けつ)を体の隅々まで行き渡らせる働きがあります。生理前に「イライラ」や「胸やお腹の張り」「便秘」「肌荒れ」などの症状がでるPMS(月経前症候群)も実は気の滞りが関係しています。生理前は妊娠に備えて、気・血のエネルギーが増えている時期なので、その分、滞りやすくなり、気血の流れが乱れやすいのです。生命活動が高まる春は、妊活に適した季節である一方、気血を巡らせる「肝(かん)」の疏泄(そせつ)機能(伸びやかに気血を運ぶこと)も乱れやすくなる時期。加えて天候不順や新年度と環境の変化によるストレスが肝に影響し、気血を作る胃腸の働きを弱め、さらに気血の巡りが悪くなる悪循環に陥りがち。特に不妊治療をしている人は、通院予約や仕事との両立、期待と落胆を繰り返すことで、多大なストレスを受けています。そんな時は、漢方の疏肝薬(そかんやく)[逍遥丸(しょうようがん)や開気丸(かいきがん)など]で気の滞りを改善するだけでも、血の巡りが良くなり気分も明るくなるはず。「気分屋」の言葉にもあるよう、気は変化しやすい性質があるため、飲めば直ぐに効果を感じられるのが特長。せっかくの春、気分を変えて楽しく妊活をしてみませんか?
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2017.08.17
蒸し暑い夏場の「フレイル」対策!
前回お話しした介護予防の新キーワード「フレイル」ですが、中医学では別段新しい考え方ではありません。足腰の衰えや疲労感、認知機能の低下など「フレイル」と言われるものは、臓器の機能低下や生命エネルギー[気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)}の不足により、身心の働きが衰えた「虚労」と捉えています。湿度が高い夏場に気をつけたい「フレイル」の一因は、脾(ひ)[胃腸の消化吸収力]の機能低下です。脾は食物から生命エネルギーを体に取り込む働き[運化(うんか)作用]があり、元気に過ごすための重要な臓器です。湿度が高く蒸し暑い日が続くと脾の運化が失調し、気・血・津液が不足すると夏バテの要因にもなります。「食欲不振」「普段通りに食べているけど、体重が減った」「疲労感が抜けない」などと感じている方は要注意!元々脾の運化が弱る高齢者は、筋力の低下を招き、積極的に水分をとっても吸収されずに水毒となってしまいます。肝心の血液は潤い不足で流れにくくなり、頭に血が行き渡らず、もの忘れの原因になることも。認知症を予防するためにも、日頃から脾を健やかに保ち、気・血・津液が体の隅々にまで行き渡るように心がけましょう。漢方では脾の働きを助ける「健脾散顆粒(けんぴさんかりゅう)」や「心脾顆粒(しんぴかりゅう)」、元気と潤いを増やす「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」などで、病気ではないが、弱った体をケアするフレイル対策で残暑を乗り切りましょう。
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2016.07.21
“夏ダル”に潤いと元気チャージ
毎日の最高気温が軒並み30度を超えるこの時期、「バテているというほどではないが、重ダルさが続く」という〝夏ダル状態〟の方が急増しています。「夏はダルいもの」とあきらめている方も多いようですが、炎天下で走り回っていた子ども時代を思い出してください。中医学を上手に使うことで、元気に夏を乗り切りましょう。夏ダルの原因は、ズバリ「気(き)」と「陰(いん)」(元気エネルギーと潤い)の不足。暑い夏は大量の汗をかき、その汗と一緒に体内に蓄えた気が消耗されます[=気虚(ききょ)]。同時に湿度は高いのに、カラダが必要としている潤い[津液(しんえき)]も不足しがちに[=陰虚(いんきょ)]。中医学ではこの状態を「気陰両虚(きいんりょうきょ)」といいます。気と陰はお肌にハリと潤いをもたらしてくれるもの。美しさと健康を保つなら、気と陰を補うことをお勧めいたします。また、夏は高温多湿で湿気に弱い「脾(ひ)」(胃腸の吸収力)がダメージをうけやすい季節。過剰に冷たいものを飲み食いすると、冷えを嫌う胃腸はさらに弱る悪循環に陥ってしまいます。こうなると、食欲不振、腹部膨満感、軟便・下痢などの症状が現れ、夏ダルは加速して重ダルに発展します。気陰両虚を改善する代表的な漢方は「飲む点滴」とも言われる>「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」。湿邪(しつじゃ)から胃腸を守る「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」も取り入れて、夏ダル・重ダルを予防して夏も楽しく過ごしましょう。
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2016.02.18
春はPMSが悪化する季節!
「なぜかイライラすると思ったら、生理前だった」――。多くの女性が経験するこうした気持ちの変化はPMS(月経前症候群)と呼ばれるもの。「胸やお腹の張り」「便秘」「肌荒れ」「過食」などの症状も伴います。今ではPMSという言葉も一般的になりましたが、西洋医学的には原因は未解明。「体質だから、治らないもの」とあきらめている人も多いようです。PMSの原因は、中医学では「気(き)」の乱れと考えます。気は体の代謝に関わる重要なエネルギーで「肝(かん)」の疏泄(そせつ)機能(=伸びやかに気血を運ぶこと)でコントロールされています。生理前は妊娠に備え「気・血」のエネルギーが増える時期。その分、気・血が滞りやすくなり代謝が低下します。逆に言えばPMSは、気や血が滞っているサイン。生理痛や生理不順、更年期障害などがある方は、気・血の流れを改善することで、症状を和らげることもできます。特に万物が芽吹く春は、肝の疏泄が乱れ、気が滞りやすい時期。「春は気が滅入る」という人が多いのもこのためだと考えられます。実はこうした気の滞りの改善には、漢方の疏肝薬(そかんやく)=[逍遥丸(しょうようがん)や開気丸(かいきがん)など]が有効です。気は変化しやすい性質上効き目も早く、お客様の多くは1時間以内に変化を感じるようです。生理前だけでなく、男女問わずプチうつ状態の人や神経が細やかな人にもお勧めです。
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2014.01.23
アトピー肌 冬こそ肌質改善を!
寒さの続く冬は、空気が乾燥しているため肌はカサカサ。冬場に悪化するアトピー性皮膚炎の方は当然ですが、梅雨時から夏場にかけて悪化するタイプの方にとっては、肌質改善する絶好の機会です。「冬は赤みがないから…」とお手入れを怠ってはいませんか?赤みが出にくい冬だからこそ、潤いもちもち肌に変えていきましょう。「でもどうすれば?」とお悩みの方も多いでしょう。アトピーの症状は人によって千差万別。しかも皮膚の状態だけ見て表面的治療をしても、根本的な改善にはつながりにくいのが現状です。中医学では「皮膚は内臓の鏡」と考えます。中でも食物を消化吸収し皮膚の栄養となる血液・津液を作る「脾(ひ)」、皮膚の抵抗力や皮膚の潤いに関与する「肺(はい)」、老化や免疫力に関与する「腎(じん)」の機能低下がアトピーに大きく関与しています。個々の体質に合わせて、スキンケアも行いながら、体の中から正常な皮膚に修復していくことが大切です。赤みの少ないゴワゴワカサカサで痒い皮膚は、「当帰飲子(とうきいんし)」などの養血袪風薬(ようけつきょふうやく)で肌を中から潤し痒みを鎮め、「健脾散顆粒(けんぴさんかりゅう)」などの健脾薬(けんぴやく)で消化吸収機能を守りながら、「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」や「八仙丸(はっせんがん)」などの補気薬(ほきやく)・補腎薬(ほじんやく)で皮膚のバリア機能や免疫力も高めて肌質改善を。当店では中医皮膚科の漢方薬の使い方をアドバイスいたします。
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2013.01.24
粘膜マスクが花粉を防ぐ
花粉症の人にとっては、憂鬱な季節がやってきました。今年の花粉の飛散数は昨シーズンの3~7倍になると言われています。西洋医学では、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、体に花粉が侵入した「結果」で引き起こされるアレルギー症状を薬で抑える対症療法が一般的です。一方、中医学では「未病(みびょう)」の段階から皮膚・粘膜が本来持っているバリア力を高め、花粉に強い体質を作ります。そのために必要なのは「衛気(えき)」を養うこと。衛気とは外から侵入してくるウイルス・細菌などの病原体や花粉などの刺激物「外邪(がいじゃ)」から体を防衛する「気(き)」=(エネルギー)の力です。眼や鼻の粘膜を覆っているバリア細胞を修復させる働きがあり、要は粘膜にマスクをかけるエネルギーとイメージして下さい。風が吹く春は、外邪の影響を受け易い季節。衛気が不足していると、花粉症のみならず様々な感染症に罹り易くなります。この衛気を補う代表的な処方が「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」です。「優れた屏風を立てて外邪の侵入を防ぐ」というネーミングからも分かるように、ウイルスや花粉をバリアしてくれるのです。この「玉屏風散」を飲みやすく顆粒にした「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」は毎年多くの方にご好評いただいております。花粉シーズン前からの服用が最も効果的ですが、シーズン中でも症状を軽減することが出来ます。
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2013.07.18
水分をとっても脱水症状になるワケ
梅雨明けとともに猛暑日が続き、熱中症患者が急増しているようです。ニュースでは、きちんと水分を取っていても熱中症や脱水症になるケースが報告されていますが、どうしてか、不思議ではありませんか?飲んだ水分は、中医学でいう五臓の「脾(ひ)」で吸収されます。この脾の運化機能(腸の吸収力)が弱まると、水分は十分に吸収されず、軟便・下痢として便に排出されるほか、お腹に溜まり水毒となります。体の重だるさやむくみ、軟便下痢などの症状がある方は、脾の働きが低下していると考えて良いでしょう。また、湿度が高いと「湿邪(しつじゃ)」が脾に影響を及ぼし、胃腸の吸収力を弱めます。この季節、胃腸トラブルが多いのは、こうした理由もあるのです。胃腸できちんと吸収された水分は「津液(しんえき)」となって、血液や体に潤いをもたらしますが、大量の汗をかくと消耗されます。特に津液が不足しがちな高齢者は脱水状態に陥りやすいので注意が必要です。血液が濃縮されてドロドロの状態になり、熱中症だけでなく心筋梗塞や脳梗塞なども起きやすくなります。漢方を上手に取り入れれば、体の不調を軽減できます。脾の働きが弱っている方には「健胃顆粒(けんいかりゅう)」などの健脾薬(けんぴやく)や“胃腸の除湿器”「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」がおすすめです。また、発汗過多で元気と潤いを消耗した場合は「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」で積極的に気と津液を補いましょう。
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2012.09.20
厳しい残暑でも質の良い睡眠を
今年の夏も全国各地で35度を超える猛暑日が続きました。9月に入っても厳しい残暑が続き、蒸し暑い夜に寝苦しさを訴える方が多くみられます。睡眠不足は疲労の蓄積をまねき、熱中症や体調不良を起こしやすくします。ではどうすれば、質の高い眠りを得ることができるのでしょうか?中医学では、よく眠れない状態を、暑さと発汗によって「気(き)」と「陰(いん)」(津液)が消耗しているからと考えます。また、心身のストレスによっても気・血(けつ)・陰は消耗します。特に厳しい残暑は身体的なストレスを増長させるため、この季節「寝た気がしない」「疲れがとれない」などの症状が多くなるのです。体内をうるおす津液には、体の熱を下げる「冷却水」の役割があります。津液不足では体内がオーバーヒートを起こして脳の温度が下がらず、副腎皮質ホルモンの過剰分泌が引き起こされます。このホルモンにはストレスから人間を守るために脳と体を緊張させる特徴があります。そのため、過剰に分泌された状態では心身のリラックスはもちろん、深くて質の良い睡眠を得ることはできません。身体の疲労や消耗が激しい方には、残暑で消耗した気・陰を補う「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」がお役に立ちます。精神的な不調を感じている方の睡眠改善には「天王補心丹(てんのうほしんたん)」などもおすすめです。
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2021.06.24
猛暑に耐える身体づくり
ワクチン接種が進みコロナ禍が一定の落ち着きを見せたとしても、今年も例年と同じように猛暑の夏はやってきます。コロナ対応に気を取られるあまり、猛暑対策が二の次になりがちですが、毎年、多くの方が熱中症で亡くなっているので、気は抜けません。中医学で熱中症や夏の血栓を予防するためには、気陰両虚(きいんりょうきょ)<元気と潤いの不足>の改善と活血化瘀(かっけつかお)<毛細血管を含めた全身の血流を改善すること>が大切と考えます。炎天下では水分の消耗が激しく、特に水分保持量が体重の60%以下にもなる高齢者は脱水状態になりがちです。そうなると、血液は濃縮され粘度が高まり、血栓もできやすくなってしまいます。一般的に夏は、心・脳血管疾患が減少すると言われていますが、猛暑時は例外で、気温が32℃を超えると心筋・脳梗塞が急増するという研究結果もあります。中医学では、身体のすみずみにまで血液を送る心気(しんき)を補い、心筋に栄養を与えることで、こうした症状を予防します。代表的な漢方は「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」です。潤いを生む生津作用だけでなく、心肺機能を維持する気を補う働きもあります。活血化瘀薬の「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」の組み合わせは、熱中症のみならず、夏の血栓予防にも最適です。
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2021.09.30
湿邪から燥邪に変わりゆく秋
季節の変わり目は不調が出やすくなる時期。特に近年の秋は、残暑がいつまでも続いて湿度も下がらないため「湿邪(しつじゃ)」に弱い「脾(ひ)」=(胃腸)の吸収力が弱ったまま「気陰両虚(きいんりょうきょ)」(元気と潤い不足)となり、秋バテしている方を多く見受けます。また最近増えているのが「カラ咳」に関する相談です。秋が進めば空気が乾燥してくるので「燥邪(そうじゃ))」に弱い「肺」に影響がでやすくなります。中医学でいう肺は呼吸をするだけでなく、潤いをもたらす津液を体中にめぐらす役割も担っています。肺の気と陰を補うと、外気と接する皮膚や粘膜を潤すため、乾燥や外邪から体表を守る働き「衛気(えき)」を強化してくれます。そのため肺の気が弱ると、鼻水やカラ咳などの症状がでるだけでなく、免疫力も低下してしまいます。さらに体だけでなく「悲しみ・憂い」といった感情も強まると考えます。気陰両虚による秋バテの回復と、肺の元気と潤い補給におすすめの漢方処方が「生脈散(しょうみゃくさん)」です。人参・麦門冬・五味子のシンプルな処方ですが、この時期の夏の疲れを癒し、乾燥する秋から冬に向けて肺を守り、衛気を高めて感染症の予防にも役立てましょう。ワクチン接種は進んでいますが、ブレイクスルー感染予防にも役立つはずです。
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2022.05.26
NEW
だる重さ、湿邪にご用心!
今年は「五月晴れ」の日が少なく、すでに梅雨入りしている様な、天候も不順で湿度の高い日が続いています。体にとって過剰な湿気<湿邪(しつじゃ)>は、むくみや重だるさ、頭重、軟便、食欲低下など様々な不調を引き起こします。また、神経痛などの痛みも増強させる傾向があります。特に湿邪の影響を受ける脾(ひ)=(胃腸)が弱い方は注意が必要です。腸は免疫を作る臓器としても広く知られ、免疫細胞の7割が集まっていると言われています。湿度が上がり胃腸の働きが弱ると、代謝や免疫力も落ちて疲れやすく、様々な病気にかかりやすくなります。新型コロナ感染症もまだまだ油断できない状況なので、日頃から免疫力を高め、自分の身体は自分で守る意識を持つといいと思います。では具体的にどうすればいいのでしょう。胃腸に負担をかけないためには、暴飲暴食、特に生ものや冷たいものはなるべく控えましょう。健康に良かれと、吸収できないほど水分を摂るのもおすすめできません。それでも調子が戻らない時は、漢方薬の出番。胃腸の弱い方は、日頃から健脾薬(けんぴやく)で脾の働きを補い、さらに湿度が高い日は湿邪から胃腸を守る勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)などで快食快便をめざして、夏バテ・免疫力低下を防ぎましょう。
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2020.01.23
インフルも花粉も粘膜バリアで防ぐ
冬らしくない暖かな日があったかと思えば、急激に冷え込む…。暦の上で一番寒い大寒を過ぎても気候の変化が激しく、体調を崩して相談に見える方が増えています。特に年末年始の暴飲暴食などで胃腸が弱っている方は要注意。ウィルスや細菌、花粉などの外邪(がいじゃ)から身体を守る「衛気(えき)」が弱まり、インフルエンザや花粉症になりやすくなってしまいます。衛気は身体の表面に働く気のエネルギーで、皮膚や眼・鼻・喉の粘膜細胞を修復させる働きがあります。衛気が十分にある=身体全体にバリアマスクがかかっている状態をイメージすれば、分かりやすいでしょうか?衛気を養うには、免疫力を生み出す「脾(ひ)」と皮膚の働きを司る「肺(はい)」の働きも大切です。脾を弱らせないよう、過食や生もの、冷たい飲食を控え睡眠も十分とること。それでも不足してしまう場合は、中医学の代表的な処方「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」の力を借りましょう。「優れた屏風を立てて外邪の侵入を防ぐ」というネーミングからも分かるように、ウイルスや花粉をブロックします。この「玉屏風散」を飲みやすく顆粒にした「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」は毎年多くの方にご好評いただいております。花粉シーズンが始まる前からの服用が最も効果的です。
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2020.09.17
秋冬の感染症対策とは
夏バテは、暑さが和らぐ秋には回復するもの。しかし近年は残暑が厳しく湿度も下がらないことから、不調が続きやすく、「秋バテ」に悩む人も多いようです。本来、秋になると胃腸の機能が回復して「食欲の秋」を迎えるはず。しかし湿度が高いままだと、「脾」(胃腸)の吸収機能が低下したままで、なかなか食欲が戻りません。免疫を作る腸の機能が戻らないと、免疫力も低下し、感染症にもかかりやすくなります。軟便気味でお腹がすっきりしない人は、「補中丸(ほちゅうがん)」「健脾散顆粒(けんぴさんかりゅう)」などの補気・健脾薬で脾の働きを回復させることが、秋バテ解消の近道です。また、冬に向けて食事からしっかりエネルギーを吸収できる様に胃腸を整えないと、肺の元気と潤いも無くなり、風邪や感染症に無防備になります。中医学では、秋は「肺」(気や津液を巡らす)が弱る季節と考えています。肺の働きが弱ると、皮膚や粘膜のバリアの働きをする「衛気(えき)」も不足して、外界の気候変化や細菌・ウイルスなどの邪気(じゃき)から身体を守れなくなり、体調を崩す要因になります。肺の元気や潤い不足には「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」などの体調・体質に合わせた漢方薬で、秋冬に備え疲れをリセットしておきましょう。
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2019.03.21
自然の力で妊娠力UP
植物が芽吹き動物の活動が活発になる春は、生き物にとって最も生命活動が高まる季節。人間にとっても、妊娠しやすい時期と言えます。今年は春の訪れが例年より早まりそう。不妊に悩む人も、自然の力を利用し子宮の力を高めていくと、より妊娠率が上がります。一方で、注意したいのが「気の滞り」。気とは、体の代謝に関わる重要なエネルギーで、血を全身の隅々まで行き渡らせる働きがあります。春はこの気血を巡らせる「肝(かん)」の疏泄(そせつ)機能(伸びやかに気血を運ぶこと)が乱れやすい季節。加えて天候不順や環境の変化によるストレスが肝に影響し、気血を作る胃腸の働きを弱め、さらに気血の巡りが悪くなる悪循環に陥りがちです。特に不妊治療をしている方は、通院予約や仕事との両立、期待と落胆を繰り返すことで、多大なストレスを受けています。健やかな「妊活」をするためには、まず気血を補いストレスなどで滞った気血を子宮卵巣に行き渡らせることが大切です。そんな方には、気の滞りを改善する「逍遥顆粒(しょうようかりゅう)」や「開気丸(かいきがん)」などの理気薬(りきやく)がおすすめ。全身に気が巡ることで、落ち込みがちな気持ちも明るくなります。また、妊活に欠かせない補血薬(ほけつやく)の「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」なども合わせて飲むと良いでしょう。
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2019.02.21
中医学の花粉症対策
今年も花粉の飛散が始まりました。日本気象協会によると飛散量は例年より多く、3月に各地でピークを迎えるようです。西洋医学では、花粉が侵入して引き起こされるくしゃみ・鼻水・目のかゆみなどを薬で抑える対症療法が一般的です。この様なアレルギー症状は、生体の免疫機能が過剰に働いた状態で、抗アレルギー薬はその機能を遮断して症状を抑えます。一方、扶正(ふせい)と袪邪(きょじゃ)の両面から対応出来る中医学の花粉症対策は、症状に合わせて「頂調顆粒(ちょうちょうかりゅう)」や「涼解楽(りょうかいらく)」などの袪邪の処方で症状を和らげながら、「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」などの扶正の処方で皮膚や粘膜のバリア力を高めることに主眼を置きます。衛気は外から侵入してくるウイルス・細菌などの病原体や花粉などの刺激物から体を防衛する力。春は花粉のみならず、外邪の影響を受けやすい季節なのです。そのためには、免疫力を高める腸の働きも大切です。過食や生もの、冷たい飲食を控え、粘膜を修復するための睡眠を十分にとりましょう。中医学的アプローチで、アレルギー体質が治まった方も多くいます。有名な「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」は、鼻水を主症状とする風寒(ふうかん)の邪に有効な袪邪の処方です。
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2019.01.24
血管力UPでヒートショック予防
冷え込みの厳しいこの時期はヒートショックが増加します。ヒートショックとは、主に家の中の急激な温度差により血圧が大きく変動することで、脳内出血や心筋・脳梗塞などを引き起こします。暖かい居間から寒い風呂場へ移動すると、熱を奪われまいとして血管が縮んで血圧が上がり、湯につかると血管が広がって急に血圧が下がります。健康な若者の血管なら急激な血圧の上昇・下降にも耐えられますが、糖尿病や動脈硬化が進んだ高齢者には、致命的な症状を招きかねません。血圧が下ることで、めまいやフラつきが起き、時には意識を失い転倒や溺死という事態を招くこともあり、寒いトイレでも同様のことが起こります。一般的な対策は、風呂場やトイレを暖房して温度差を少なくする、熱い風呂は避け、出る時はゆっくり立ち上がるなど。中医学では、日々の血圧の変動に耐えられる弾力ある〝丈夫な血管〟にすることが大切と考えます。たとえ、血圧が上下動しても、しなやかに収縮・拡張する血管であれば、切れたり詰まったりするリスクは低くなります。血管力を上げたい方には、活血化瘀薬(かっけつかおやく)の中でも「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」がおススメ。AGE(終末糖化産物)の産生を抑えて血管を丈夫にして、毛細血管の流れも改善してくれます。
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2018.12.20
血圧は常に変動している
高血圧は、日本人の死因ワースト4の心疾患と脳血管疾患に関して大きなリスク要因となります。自律神経が司る血圧は、常に変動していて一日の内でも上下しています=表。睡眠時は低く、日中活動を開始すると上昇し、食事や排便時、緊張や興奮などで一時的に上がります。常に高い状態が続くと血管が破れたり動脈硬化が進むため、西洋医学では診察室血圧が上140以上(収縮期)、下90以上(拡張期)になると降圧剤が使われます。しかし、血圧は下げれば安心なのでしょうか?体力の落ちた高齢者は、血圧を下げ過ぎると元気がなくなり、転倒や骨折、脳梗塞、認知症などのリスクが高まることが指摘されています。また気温や気候の急変動は血圧にも大きく影響します。中医学では、血圧が上がる原因を個別に改善して、日内変動や気候の急変に耐えられる〝丈夫でしなやかな血管〟にすることが大切と考えます。血管力を上げるには「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などの活血化瘀薬(かっけつかおやく)を使った瘀血(おけつ)の総合療法がおすすめです。
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2018.11.22
免疫力を高めて感染予防!
横浜市では風疹の患者数が昨年の10倍超に。インフルエンザなどの流行も懸念されます。西洋医学で予防といえば、予防接種ですが…。今年は爽やかな秋晴れの日が少なく湿度が高く蒸し暑い日が続いたせいか、何んとなーく不調を感じている方が多いようです。原因を中医学的に考えると納得できます。中医学には「扶正(ふせい)」という考えがあります。これは病気に対抗する免疫力の様な「正気(せいき)」を高めること。日頃の食事から作られる「気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)」が正気の源となります。今年の夏は災害級の猛暑でした。本来の秋の気候になれば、暑さや湿気で弱った「脾(ひ)」(胃腸)が機能を回復して「食欲の秋」を迎え、寒い冬に向けて正気を十分に蓄える時期なのですが、今年は例外のようです。正気が充実していれば、ウイルスや病原菌などの侵入を防いでくれます。同じ教室に居て、インフルエンザに感染する子としない子の違いは、正気の充実度の差と考えます。この時期、正気を高めるには「健脾散顆粒(けんぴさんかりゅう)」などの補気健脾薬(ほきけんぴやく)で腸管免疫を高める事が有効です。しかし、正気を充実させても、無茶な生活をすれば容易に「邪気(じゃき)」に侵される事もあるので、日々の養生も大切です。腸を元気にして免疫力を高めて感染を予防してみては?
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2018.10.18
「妊娠力」は秋に上がる?
「実りの秋」といいますが、過ごしやすく食欲も旺盛になる秋は、動物にとって春と並ぶ繁殖期です(もちろん人間も)。しかし今年は「夏の疲れが取れなくて…」という方が少なくありません。猛暑のダメージに加え、秋になっても湿度が高かったため、「脾(ひ)」(胃腸)の疲れが回復していないことが一因のようです。脾は食物から栄養を吸収し、免疫力も高める大切な機能を担っています。元気な脾があってこそ、子宮を養う「気(き)・血(けつ)」が十分に培われるのです。妊娠・出産は多くの血液が必要とされる活動です。血の量を増やし全身に巡らすこと=妊活といっても過言ではありません。今年の秋は、胃腸の疲れを取ることが、妊活の第一歩。ストレスや湿気、冷たい飲食物は脾の大敵ですので、旬の食材と温かいものを取って、胃腸の調子を整えましょう。さらに気をつけたいのは、下半身の「冷え」。下半身は子宮、卵巣、卵管など妊娠に直接かかわる重要な器官があるため、冷えで骨盤内の血流が低下すると、不妊の原因になりかねません。脾の働きを助ける「健脾薬(けんぴやく)」とともにおススメの漢方は、愛用者の多い「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」。血を補い体を温めて骨盤内の血流を改善します。基礎体温を活用した周期療法と合わせ使うと良いでしょう。
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2016.12.15
湿度高くてもインフルが流行?
毎年冬になると大流行するインフルエンザ。その理由は「インフルエンザウィルスが低温・乾燥を好み拡散する性質を持つため」と言われていて、皆さんもそう認識していると思います。しかし今秋~冬の湿度は例年より高いにも関わらず、流行し始めたのは、なぜでしょうか?最近は夏場の沖縄でも流行しているよう。その原因は中医学的に考えると説明がつきます。中医学では気候の変化や細菌・ウイルスなど体に悪い影響を与える「邪気(じゃき)」の力が「正気(せいき)」(体を養い守る力)に勝ると発病すると考えます。また、正気を生み出す「脾(ひ)=(胃腸)」は湿気に弱いと言われ、本来の爽やかな秋になれば、夏の湿気で弱った胃腸が元気を取り戻し、食欲の秋を迎えて、寒い冬に向けて正気を蓄える時期。ところが、今年は秋晴れが少なく湿度が高く、免疫力と密接に関係する胃腸機能が弱った結果、ノロウイルスなどによる胃腸炎型の風邪も流行しました。つまり正気が弱ればウイルスが弱くても発病する可能性があるのです。これから年末年始にかけて、食生活も乱れる時期。弱った胃腸への負担が心配です。対策としては正気を養い邪気を取り除く「扶正袪邪(ふせいきょじゃ)」の考え方で、まず免疫力を上げるために「健脾散顆粒(けんぴさんかりゅう)」などの補気健脾薬(ほきけんぴやく)で腸を元気にすることが大切。外出する時は「板藍根(ばんらんこん)」などの解毒薬でウイルスなどの邪気を退治しましょう。
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2014.10.23
台風や低気圧で悪化する痛み!
近年、温暖化の影響か台風も大型化しやすく想定外の竜巻や豪雨被害が出るなど、過去の常識が通用しない天候になりつつあります。秋は本来気温が下がり乾燥してくる季節なのに、台風や低気圧が呼び込んだ湿気や熱風のせいで、蒸し暑くなったり、急に肌寒くなると、自律神経が対応出来なくなるため、高齢者や神経痛・リウマチなどの持病のある方に影響しないはずがありません。中医学では病気を起こす天候などの外因〈外邪(がいじゃ)〉を「六淫(ろくいん)」と呼びます。様々な痛みを引き起こす「風邪(ふうじゃ)」「寒邪(かんじゃ)」「湿邪(しつじゃ)」「熱邪(ねつじゃ)」もこの六淫の一つです。外邪による痛みは比較的急性で、単体の場合もありますが、大半は複数が連動して起こります。風に当たる、雨にぬれる、急激な気候と気温の変化などの影響で風寒湿の邪気が体に入り込み経絡(けいらく)にとどまると、気血(きけつ)の流れが滞り、こわばり・痛みなどの症状が現れます。風邪の影響が強い場合、痛む場所が移動する、発熱悪寒を伴うなどの特徴があります。寒邪の場合は、痛む箇所は固定的で激しく痛み、温めると楽になることが多いです。また、頭や手足の関節が重だるく痛む、時には水が溜まるなどの症状は、湿邪の影響が強いと考えます。漢方を処方する時は、これらの外邪の特徴を考慮して、外邪のタイプ別にお選びいたします。
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2016.01.21
扶正袪邪で花粉症対策
平年より気温が高めの今年は、スギ花粉の飛散開始も早く2月上旬と予想されています。早くも「何となく鼻がムズムズする…」という人もいらっしゃるようです。中医学の「扶正袪邪(ふせいきょじゃ)」の考え方は、花粉症にも当てはまります。花粉が飛散する前の1月は、まさに「扶正」の時期。年末年始に疲れた体や胃腸を整え、寝不足を解消して、正気を充実させれば、カゼやインフルエンザにかかりにくいだけでなく、花粉症の予防や症状を軽く抑えることができます。花粉症の人だけでなく、予防したい人にも「衛気(えき)」(体表を守るバリアのような気)や「血」(栄養や潤いを全身に届ける血液)の不足を補う漢方が有効。衛気不足には「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」、血不足には「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」など、タイプに合わせて発症前から未病先防(みびょうせんぼう)できるのが漢方のイイところ。花粉は外邪(がいじゃ)と考え、花粉が飛散して症状が出てしまったら「袪邪」(=病気をもたらす邪気を取り除くこと)の漢方で症状を和らげることも出来ます。寒さの残る花粉シーズン当初は「透明で薄い鼻水がでる」風寒(ふうかん)タイプ、暖かくなると「目の痒み充血・鼻づまりなど」の風熱(ふうねつ)タイプなど、症状によってタイプを見極め、漢方を選びます。「扶正袪邪」は、花粉症だけでなく、様々な症状にも応用が出来ます。
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2015.11.19
アトピー冬場の対処法は?
乾燥で肌のバリア機能が低下し敏感になる冬は、アトピー性皮膚炎の方にとっては、辛い季節といえそうです。しかし、アトピーの症状は人により様々。冬場に悪化する方もいれば、落ち着く方もいます。冬場に悪化するのは、赤みは少ないがゴワゴワ・カサカサのドライスキンが激しい「血虚風燥(けっきょふうそう)」タイプ。外側からのスキンケアは当然ですが、養血潤膚(ようけつじゅんふ)作用のある漢方薬で、内側から血(けつ)を補って皮膚を養い、潤いのある肌を作ることによって痒みを抑えます。梅雨時から夏場の汗ばむ季節に悪化する赤味の激しい「湿熱血熱(しつねつけつねつ)」タイプの方は、湿度が下がるこれからの季節が肌質改善のチャンスです。目標は「正常に汗が出て皮脂が分泌出来る皮膚」。つまり体温の冷却機能とバリア機能の回復です。そのためには、炎症が落ち着いている間に、漢方で内と外の両側から、皮膚の再生を助け皮膚の機能を正常に戻す必要があります。中医学では「皮膚は内臓の鏡」と考えます。外側の状態に一喜一憂するのではなく、内臓との関係や個々の体質、生活習慣を考慮し体の中から皮膚を修復することが大切。アトピーは症状が落ち着いたように見えても簡単に再発します。定期的・長期的にケアを続け、「モチモチ、うるうる肌」を目指しましょう。漢方を上手に使ったステロイド離脱法もあるので、お悩みの方は一度ご相談下さい。
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2014.09.18
秋は妊娠力UPのチャンス!
秋は動物にとって、春と並ぶ繁殖の季節。逆に気候の厳しい真夏・真冬は、繁殖する動物も少ない傾向にあります。人間も例外ではありません。体は冬に向けて栄養を蓄えるため、妊娠力もアップすると考えられます。しかし、暑さのピークは過ぎたものの、気候の変動が激しく「何だか体がだるい…」というお客様の声をよく聞きます。体がへばっている時に、お金をかけて高度不妊治療を行っても成功率は高まりません。今こそ、しっかりと夏の疲れをとって、「子づくりの秋」を迎えたいものです。夏の疲れをとるにはまず、胃腸の元気を取り戻すこと。食物からしっかりと栄養を吸収できる脾があってこそ、子宮を養う「気(き)・血(けつ)」が培われます。ストレスや湿気、冷たい飲食物は、脾の大敵。旬の食材を使い温かいものを軽めにとって、胃腸の調子を整えましょう。さらに気温が下がるこれからの季節、気をつけたいのは、下半身の「冷え」。下半身は子宮、卵巣、卵管など妊娠に直接かかわる重要な器官があるため、冷えで骨盤内の血流が低下すると、不妊の原因になりかねません。脾の働きをサポートする「健脾薬(けんぴやく)」とともにおススメの漢方は、婦人の宝として愛用者も多い「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」。血を補い体を温めて、骨盤内の血流も改善します。基礎体温を活用した周期療法の漢方も合わせて使うと良いでしょう。
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2013.08.22
お盆の疲れは「気陰両虚」?
お盆休みも終わりましたが、この夏の猛暑は緩むこと無く、連日25度以上の熱帯夜が続いています。お盆休みを利用して、ご実家に里帰りされた子育て世代のママは、元気なおじいちゃんおばあちゃんに孫を託して、つかの間の骨休めが出来たでしょうか?お孫さんが居る間は、お孫さんの元気をもらい、いつも以上に頑張ってしまった祖父母の方は、みんなが帰り、どっと疲れが出て来る頃ではありませんか?例年猛暑が続く夏は、この様な祖父母の相談が増える時期です。寒いお正月ならまだ良いのですが、夏の疲れが出てくるお盆明けは、朝晩だけでも涼しくなってくれないと、胃腸が休まらず、寝ている間も沢山の汗をかいて、元気と潤いを失った「気陰両虚(きいんりょうきょ)」の状態に陥ってしまうのです。気陰両虚とは、元気の元でもあり血液を廻らすエネルギーの「気(き)」が消耗した「気虚(ききょ)」の症状と、体を潤し血液をみずみずしく保つ「津液(しんえき)」が不足した「陰虚(いんきょ)」の症状が合併した状態です。中医学では夏場の心筋梗塞や脳梗塞の原因とも言われています。症状としては、肌にツヤやハリが無くなりカサカサする、便秘ぎみ、食欲がない、口やノドの乾燥感、手足のほてり、疲れ易い、やる気が無い、風邪を引き易いなど。このような症状を感じたら、体を潤し気を補う>「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」で早めに夏の疲れをケアしましょう。
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2013.02.21
花粉症はタイプ別に対応
前回は、外から侵入してくる花粉やウイルスなどの病原体から体を守るバリア「衛気(えき)」について話しました。今回は体に侵入してしまった花粉に対しての中医学的対処法です。花粉症の共通症状は目のかゆみやくしゃみ、鼻水などですが、個人の体質や気候によって症状が異なります。体が冷えている「風寒(ふうかん)」タイプは、水のような薄い鼻水やくしゃみが多く出ることが特徴。寒さが残る春先に多く見られます。生姜、ねぎ、三つ葉、など体を温める食材を取り入れて、体内から冷えを追い払いましょう。風寒タイプにおすすめの方は「頂調顆粒(ちょうちょうかりゅう)」や「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」など。反対に体に熱がこもるのが「風熱(ふうねつ)」タイプです。こちらは目の充血・かゆみ、のどの痛み、粘りのある鼻水などが特徴。温かくなる時期に多くなります。菊花茶、ミントティー、ゴボウなど、体の熱をさます食材でのどや目の炎症を抑えて症状を和らげましょう。漢方薬は「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」や「鼻淵丸(びえんがん)」などです。雨が降って湿度が高くなると悪化するのは「風湿(ふうしつ)」タイプ。胃腸が弱く体に余分な水分が溜まっているため、鼻水や痰の量が多く、頭重やむくみを伴う場合も。紫蘇やはと麦などで余分な水分を出す食材を使うといいですよ。漢方薬では「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」や「二陳湯(にちんとう)」などがおすすめです。これらの漢方は、風邪の症状にも応用できます。
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2012.10.18
「妊娠力」高まる秋
今や夫婦10組に1組は不妊症に悩んでいると言われています。女性の社会進出が進むに伴い、高齢出産が増加。日常的にストレスや過労にさらされる女性の体は、妊娠しにくい傾向にあるようです。そこで、最近注目を集めているのが漢方です。中医学の不妊症治療の基本は、「体を妊娠しやすいように整えていく」こと。「疲れが取れない」「ストレスで不調が続く」と感じている方は、まず体調を整え、新たな生命を生み出す準備を始めましょう。特に厳しい夏が終わった今こそ、妊娠しやすい体を作るチャンス。動物にとって、秋は春と並ぶ繁殖期。芸術やスポーツの秋と言いますが、「子作りの秋」とも言えそうです。さらに、気温が下がるこれからの季節、気をつけたいのは「冷え」。「たかが冷えくらい」と思っていても、意外にも不妊の原因になることが多いのです。特に下半身は子宮、卵巣、卵管など妊娠に直接かかわる重要な器官があるため、冷えると骨盤の血液の流れや働きが著しく低下します。薄着や冷たい飲食物を控えるのはもちろん、ホルモンバランスやストレス(気の滞り)にも注意しましょう。おすすめの漢方は、血を補い体を温め、骨盤の血流を改善する「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」や、女性ホルモンを生み出す力を高める、各種の「補腎薬(ほじんやく)」を体質に合わせて選びましょう。基礎体温に合わせた周期療法も効果的。
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2021.02.25
「コロナうつ」春はさらに要注意
我慢することはすべてストレスになります。自粛期間中は特に「何をするにも気力がわかない」「気分の落ち込みが激しい」と悩む人が増える傾向にあります。「コロナうつ」という言葉まで生まれる中、これから「気(き)」が乱れやすい春がやってきます。気とは、体の代謝に関わる重要なエネルギーで、免疫力も含め生命活動に欠かせないものです。春は「肝(かん)」の疏泄機能(そせつきのう)<伸びやかに気血を巡らせること>が乱れやすい季節。加えて新型コロナや気温の急変動、環境の変化によるストレスが肝に影響し、気血を作る胃腸の働きも低下させ、さらに気血の巡りが悪くなる悪循環に陥りがちです。気が詰まる<気滞(きたい)>人は、なるべくストレスを溜めないよう心がけ、食事に香りの強い食材(柑橘類やセロリなど)を取り入れましょう。また、気が不足<気虚(ききょ)>する人は、無理をしない生活を心がけて、胃腸を整えて元気不足を解消しましょう。気分転換や体を動かすことも大切ですが、3密を避ける制限下では、それが出来ないのが現状ですよね。養生で足りない部分は、中医学の知恵で漢方の疎肝薬(そかんやく)、補気薬(ほきやく)などを上手に使って補ってください。コロナ陽性者の家族の対応策や、後遺症のお悩みもご相談下さい。
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2022.03.24
「気の乱れ」が春の不調の原因?
20度を越すような初夏の陽気と思えば、コートが必要なほど寒い日もあるこの時季は、「寒暖差疲労」で体調を崩しがちでは?。気温の変化に、体温調節を司る自律神経の働きが追いつかず、バランスが乱れやすくなっています。中医学では、春は「肝(かん)」の季節。「気(き)」=(身体の活動エネルギー)を伸びやかに体中に巡らす肝の疏泄(そせつ)機能が乱れやすく、気虚(ききょ)や気滞(きたい)になりがちです。「春眠暁を覚えず」という言葉がありますが、気虚とはまさにこの状態。気が不足してゆるみ、眠気や倦怠感が出やすくなります。気滞は気の巡りが滞った状態で、自律神経のコントロールが円滑にできず、イライラや憂うつなど精神的に不安定になるほか、腹張・腹痛、PMSなどの症状も引き起こします。一方で春は、冬の間に体に溜まった老廃物をしっかり疎泄させ、体内の気・血・水(津液)の巡りをよくすることで、自律神経の基礎代謝を活発にしてくれます。西洋医学の教科書には載っていない「気」を補う<補気(ほき)>、廻らす<理気(りき)>ための中医学理論や処方は沢山あります。健康診断の数値だけでは、気虚や気滞は見つけにくいもの。何か不調を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
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2022.02.24
花粉症にも「扶正袪邪(ふせいきょじゃ)」
本格的な花粉シーズンが始まります。日本気象協会によると今年のスギ花粉の飛散ピークは3月上旬から下旬の見込み。花粉の飛散量は昨シーズンよりも多い予報ですが、今年は例年より花粉症の相談者が少ない印象です。その理由は感染症対策です。ウイルス(邪気)の侵入を防ぐためのマスク着用(袪邪)が日常化しているため、花粉(邪気)の侵入も同時に防いでいるようです。さらにコロナ対策で「扶正(ふせい)」のための漢方薬を服用している方は、花粉症の症状も軽減されています。扶正とは、文字通り正気(せいき)を養うことです。正気=<気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)>が充実して身体を巡っていると免疫力も高まり、健やかに過ごすことができます。この時期「玉屛風散(ぎょくへいふうさん)」などの体表を覆う皮膚バリアの「衛気(えき)」を養う扶正のための漢方薬の服用をお勧めします。3回目のワクチン接種も進んでいるようです。2回目までの副反応は発熱などが多かったようですが、3回目は悪寒を伴う症状をよく聞きます。中医学では、発熱や喉痛には辛涼解表剤(しんりょうげひょうざい)の「銀翹散(ぎんぎょうさん)」など、悪寒には辛温解表剤(しんおんげひょうざい)の「葛根湯(かっこんとう)」など袪邪の処方を症状に応じて臨機応変に使い分けます。花粉もコロナも不正袪邪で対応しましょう。
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2021.11.25
内側から肌を潤す漢方の乾燥対策
ようやく冬型の気候になって来ました。これからは空気が乾燥し、肌への負担が増える季節。今年は手荒れ、ひじ・かかとのカサつきだけでなく、コロナ禍で長びくマスク生活で肌トラブルに悩む人も増えています。外の環境と常に接して全身を守るという重要な役割を持つ皮膚。その正常な機能を保つには、外用剤によるスキンケア以外にどんなアプローチが考えられるでしょか?中医学では「皮膚は内臓の鏡」と考え、五臓の「肺(はい)」が皮膚を調整していると考えます。外側の肌ケアに加え、「身体の内側から皮膚を栄養して潤す」考え方を、取り入れていただきたいです。そのためには、体の中から肺を養う気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)を補う方法を考えます。慢性的に肌や粘膜が乾燥している状態は、血が足りず肌に栄養が行きわたらない<=血虚(けっきょ)>、加齢や寝不足などで津液が不足して潤せない<=陰虚(いんきょ)>、皮膚のバリア機能の低下<=気虚(ききょ)>などが関係しています。漢方では血を補う「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」、肺を潤す「八仙丸(はっせんがん)」など、乾燥のタイプも体質によって異なるので、自分の体質を知ることから始めてみませんか?おすすめの食材としては、百合根、レンコン、白きくらげなどの白い食材を毎日の食生活に取り入れるのも効果的です。
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2019.05.23
帯状疱疹は予防できる!?
大型連休明けの昨今、高齢者だけでなく若い方も帯状疱疹を疑って、相談に見えます。加齢や疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると、ウイルスが活動・増殖を始め、帯状疱疹を発症します。日本の成人の約9割はこの帯状疱疹ウイルスを持っていると言われます。この時期「5月病」という言葉があるように、ストレスが表面化しやすい季節。新生活の疲れや連休でリズムを崩した方も多く、さらに天候不順で自律神経も乱れ、不調が出やすくなっています。明らかな皮膚症状が出た場合は、早急に病院を受診し抗ウイルス薬の処方が有効ですが、症状が出ないと薬は使えません。予後の神経痛の相談で来店される方も多いのですが、出来れば皮膚炎が出る前に予防したいですね?。特に発症を繰り返す人は、「皮膚がピリピリする」などの前兆症状の段階で対応しましょう。「でも免疫力をあげるってどうやれば…?」という方はお気軽に相談を。中医学では、初期の水疱を伴う帯状の赤い発疹に対しては、「板藍根(ばんらんこん)」や「瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)」などの清熱解毒剤で停滞した湿熱(しつねつ)を取り除き、皮膚の炎症を抑えます。また、針で刺される様な痛みが特徴の瘀血(おけつ)による神経痛に対しては、気を巡らし血行を改善する理気活血(りきかっけつ)や通絡止痛(つうらくしつう)の処方で対処します。
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2019.04.18
つらい頭痛も中医学で対応!
気温が乱高下する春は、頭痛などの痛みが出やすい季節です。特に頭痛は日本人の3人に1人が持つと言われるほど。文字通り頭の痛い症状ですが、ほとんどの方は「我慢する」か「鎮痛剤を飲む」の二択で対応しているのではないでしょうか?痛みとは本来、身体からの〝助けて〟のサイン。痛みを感じさせない鎮痛剤でそのサインを無視していると、後々厄介な症状を招きかねません。一方、中医学では痛みを引き起こす原因を探り、個々の体質別に改善します。原因はまず外因と内因に分けられます。外的要因の頭痛は、自然界からの影響を受けて風(ふう)・寒(かん)・湿(しつ)・熱(ねつ)などの「外邪(がいじゃ)」によって、頭部の気血の流れが滞ったために「不通則痛」(通じざればすなわち痛む)という理論で起こると考えます。春は風の季節なので、風寒タイプが多いよう。内的要因の頭痛は胃腸虚弱や老化、慢性病などで気血(きけつ)が不足し、頭に血が行き渡らないために起こります。また生活習慣の乱れ、緊張やストレスなどで気血が滞ることで起こるタイプもあります。経験がないほど酷い頭痛は、深刻な病気も考えられるので、直ぐ病院の受診をお勧めしますが、治り難い頭痛は、中医学で対応してみては?タイプに合わせた漢方薬を選び、養生法も指導します。
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2015.12.17
ウイルスに負けないカラダづくり
慌ただしい年の瀬は、何かと無理をしがちで、免疫力が低下する傾向にあります。加えてノロやインフルエンザなど、強い感染力を持つウイルスが蔓延するため、体調を崩す方も多いのではないでしょうか。当店では中医学の「扶正袪邪(ふせいきょじゃ)」の考え方で「ウイルスに負けないカラダづくり」を推奨しています。中医学では病気が起こる原因を二つの方向から考えます。一つは体内の「正気(せいき)」不足。正気とは体が病気に対抗する〝免疫力〟のような存在で「衛気(えき)」や「血(けつ)」によって維持されています。不足すると、臓器の働きが弱くなり、防御力が低下して病気にかかりやすくなります。もう一つは病気をもたらす「邪気(じゃき)」の影響です。邪気は体に悪い影響をあたえるものの総称。気候や環境など外から入り込む外邪(がいじゃ)[風(ふう)・寒(かん)・暑(しょ)・湿(しつ)・燥(そう)・火(か)の六淫(ろくいん)など]と体内に発生する内邪(ないじゃ)[痰湿(たんしつ)や瘀血(おけつ)など]があります。花粉などのアレルゲンやウイルスは外邪にあたります。病気を予防・改善するためには、日ごろから正気をしっかり養い(扶正)、邪気に侵されてしまったら早めに取り除くこと(袪邪)が大切。ただし、正気を養っても邪気はそのまま、邪気を取り除いても正気は足りない――そんな偏った対処では体質改善にはつながりません。自分の体にあったバランスのよい「扶正袪邪」をご指導します。花粉症も今からの扶正が有効です。
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2012.08.23
病院から帰宅途中に心筋梗塞
実際にあった話ですが、ある夏の暑い日、高齢の女性が病院から歩いて帰る途中、心筋梗塞を起こしました。この女性は検査のために前夜から絶食していた上、検査後もすぐに飲食物を取りませんでした。水分を取らずに大量の汗をかき、脱水状態になったことが、心筋梗塞を引き起こしたのです。元来水分が不足がちの高齢者の場合、夏の炎天下では水分はどんどん消耗され、脱水状態に陥りやすいといわれています。脱水状態では血液中の水分も減少し、血液は濃縮されてドロドロにこれも、いわゆる「瘀血(おけつ)」の状態です。体の隅々にまで行き渡るべき赤血球や白血球が動けなくなり、血管に付着して血栓となってしまいます。夏に心筋梗塞や脳梗塞が多発するのはこのためです。予防にはこまめな水分補給が大切ですが、ただ水分を摂っても、体質によってはきちんと体内に取り込めない人もいます。しかし、中医学の力を借りれば、心臓や血管のケアともいえる「瘀血」の対策に加えて、日頃から適度な水分量を保持するためのサポートも可能です。飲食物を体内に取り込む「脾」の機能を高める「健脾薬(けんぴやく)」や心臓や身体全体に元気と潤いを補って体力気力をアップする「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」と、血液の滞り(瘀血)を改善させる「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」の組み合わせは特におすすめ。夏バテや熱中症の予防にもなります。
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2021.07.29
今こそつけよう免疫力
国内のコロナワクチン接種が進んでいます。感染拡大と重症化予防に有効ですが、ワクチン接種を終えてもマスク着用による感染予防と、腸内環境を整え免疫力を高めることが大切です!暑い日は、つい冷たいジュースやアイスを食べたくなりますが、冷たい物の摂りすぎは胃腸への負担がかかるもの。実際、消化機能は約37~38℃で良く働くと言われています。「脾(ひ)」(胃腸)は冷えと湿邪(しつじゃ)を嫌います。蒸し暑い日本の夏は、冷たい飲食物や湿気により、体内に余分な水分や老廃物がたまりやすくなり、血の巡りも悪くなりがちに。そのため消化不良や胃腸の機能低下につながり免疫細胞の働きも悪くなります。また、脾が弱って邪気(じゃき)と戦う「正気(せいき)」が不足すると、感染リスクも高まります。この時期、舌苔が白く厚く、舌辺に歯痕がある方は「藿香正気散(かっこうしょうきさん)」の服用がおすすめです。元々寝冷え・夏風邪に使われる処方ですが、蒸し暑さで弱った脾を湿邪から守り、正気を高めて免疫力の低下を防ぎます。それでも、猛暑が続いて疲れてしまった時には「生脈散(しょうみゃくさん)」や「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」などで気を補いましょう。「生脈散」は汗で失った体の潤いを補うこともできるので、熱中症対策には最適です。
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2022.04.21
だるさ、イライラは「気」のせい?
「何をするにも気力がわかない」「わけもなくイライラする」毎年春になるとそんな相談が増える傾向にあります。4月は入学・入社や異動など周りの環境の変化が激しい上に、気温の変化もめまぐるしく、自律神経が乱れやすい状況にあります。さらに長引く新型コロナ、ウクライナ問題などの不安定な社会情勢も、不安感やイライラを増やす要因です。こうした〝気分〟は中医学で言う「気(き)」と密接に関係しています。気は、体の代謝に関わる重要なエネルギーで、血(けつ)や津液(しんえき)を全身に巡らせる働きをしています。また、春は気をコントロールしている「肝(かん)」に影響し、気血を作る胃腸の働きを低下させ、さらに気血の巡りが悪くなる悪循環に陥りがちです。生理前にイライラ、胸張、腹張、肌荒れ、便秘などの症状が現れるPMS(月経前症候群)も実は、気の滞りが原因です。春はPMSも強まるので、香味野菜や柑橘類などの香りの強い食材も取り入れて、気の巡りを改善させましょう。また、気が不足<気虚(ききょ)>する人は、胃腸を整えて元気を補い、疲れ過ぎない程度に体を動かす生活を心がけましょう。養生で足りない部分は、補気健脾薬(ほきけんぴやく)や疎肝理気薬(そかんりきやく)を上手に使い、気を補い巡りを改善しましょう。
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