ツキイチ連載
漢方職人「東海林さん」の漢方メモ
長年の臨床経験の積み重ねで構築されてきた中医学を語る「東海林さん」 お店では漢方職人と呼ばれています。自然の影響も考慮した中医学の膨大な知識の中から、みなさんに有益な情報を伝える連載コラムです。
2019.11.21
あなたの疲れココロorカラダ?
「休んでも疲れが残る」「気分が晴れず、憂鬱…」。これは発熱や痛みと同じ、身体からのSOSサイン。今年は特に気候変動が激しく、いきなり冬型になったため、夏の疲れをそのまま引きずっている方も多いようです。治療の方法がないため、我慢しながらやりすごしてはいませんか?中医学では、疲労の原因を気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)の不足と考えます。つまりこれらを不足しないように養生したり補ったりすることで、疲労を回復する事が可能なのです。気は生命活動のエネルギーで、不足すると「カラダの疲労」を感じるように。食事から栄養を吸収する「脾(ひ)」や生命エネルギーの源である「腎(じん)」の働きを健やかに保ち、気を全身に巡らせることで、元気が湧いてきます。一方、血の状態と深く関わるのは、五臓の「心(しん)」と「肝(かん)」です。心は血を全身に巡らせ、精神状態や感情をコントロールし、肝は血を貯蔵し、ストレスを発散させる働きがあります。血の不足は「ココロの疲労」を招き、悪化すると精神トラブルになる恐れもあるので注意が必要です。漢方には気や血、津液の不足を補ってくれる生薬があります。「養生だけではカバーしきれない」「いつまでも不調は取れない」という方はお気軽にご相談を。
読む
CATEGORY - カテゴリーから選ぶ
痛み
妊活
血流改善
疲れ
感染症
免疫力
アレルギー
季節の養生
気・血・水
2013.08.22
お盆の疲れは「気陰両虚」?
お盆休みも終わりましたが、この夏の猛暑は緩むこと無く、連日25度以上の熱帯夜が続いています。お盆休みを利用して、ご実家に里帰りされた子育て世代のママは、元気なおじいちゃんおばあちゃんに孫を託して、つかの間の骨休めが出来たでしょうか?お孫さんが居る間は、お孫さんの元気をもらい、いつも以上に頑張ってしまった祖父母の方は、みんなが帰り、どっと疲れが出て来る頃ではありませんか?例年猛暑が続く夏は、この様な祖父母の相談が増える時期です。寒いお正月ならまだ良いのですが、夏の疲れが出てくるお盆明けは、朝晩だけでも涼しくなってくれないと、胃腸が休まらず、寝ている間も沢山の汗をかいて、元気と潤いを失った「気陰両虚(きいんりょうきょ)」の状態に陥ってしまうのです。気陰両虚とは、元気の元でもあり血液を廻らすエネルギーの「気(き)」が消耗した「気虚(ききょ)」の症状と、体を潤し血液をみずみずしく保つ「津液(しんえき)」が不足した「陰虚(いんきょ)」の症状が合併した状態です。中医学では夏場の心筋梗塞や脳梗塞の原因とも言われています。症状としては、肌にツヤやハリが無くなりカサカサする、便秘ぎみ、食欲がない、口やノドの乾燥感、手足のほてり、疲れ易い、やる気が無い、風邪を引き易いなど。このような症状を感じたら、体を潤し気を補う>「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」で早めに夏の疲れをケアしましょう。
読む
2018.07.19
シルクロードで感じた日本の蒸し暑さ!
7月1日から研修で新疆ウイグル自治区のウルムチ~敦煌などシルクロードを巡りました。体験した日中の最高気温は45度の砂漠地帯ですが、湿度はわずか30%。気温が体温より高いため、熱中症予防の「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」を飲みながらの水分補給は当然ですが、汗をかいてもすぐに皮膚の熱を奪って気化するのでベタベタせず、気温が高くても辛さはなく、持参した霧吹きで水をスプレーすると、瞬時に蒸発するのでとても涼しく感じました。ところが、日本に帰った途端に体が重くなりバテてしまいました。気温が28度でも湿度が85%あると、蒸し暑いと感じる不快指数は高いのです。日本の夏に起こる不調の原因の一つがこの湿度。中医学では、自然界に季節特有の邪気があり、その侵入が病気の要因の一つと考えます。梅雨から夏に胃腸の不調や体の重だるさを感じる人が多いのは、主にこの湿邪のせい。体に侵入すると、胃腸の働きが低下し、食欲不振や下痢、吐き気、胃もたれを起こします。結果、食べた物がエネルギーにならず、夏バテ、重だるさなどの症状が現れるのです。湿邪から胃腸を守る「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」などを用いて胃腸を健やかに保つことが、酷暑を乗り越える秘訣ともいえるでしょう。
読む
2017.08.17
蒸し暑い夏場の「フレイル」対策!
前回お話しした介護予防の新キーワード「フレイル」ですが、中医学では別段新しい考え方ではありません。足腰の衰えや疲労感、認知機能の低下など「フレイル」と言われるものは、臓器の機能低下や生命エネルギー[気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)}の不足により、身心の働きが衰えた「虚労」と捉えています。湿度が高い夏場に気をつけたい「フレイル」の一因は、脾(ひ)[胃腸の消化吸収力]の機能低下です。脾は食物から生命エネルギーを体に取り込む働き[運化(うんか)作用]があり、元気に過ごすための重要な臓器です。湿度が高く蒸し暑い日が続くと脾の運化が失調し、気・血・津液が不足すると夏バテの要因にもなります。「食欲不振」「普段通りに食べているけど、体重が減った」「疲労感が抜けない」などと感じている方は要注意!元々脾の運化が弱る高齢者は、筋力の低下を招き、積極的に水分をとっても吸収されずに水毒となってしまいます。肝心の血液は潤い不足で流れにくくなり、頭に血が行き渡らず、もの忘れの原因になることも。認知症を予防するためにも、日頃から脾を健やかに保ち、気・血・津液が体の隅々にまで行き渡るように心がけましょう。漢方では脾の働きを助ける「健脾散顆粒(けんぴさんかりゅう)」や「心脾顆粒(しんぴかりゅう)」、元気と潤いを増やす「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」などで、病気ではないが、弱った体をケアするフレイル対策で残暑を乗り切りましょう。
読む
2018.09.20
「産後うつ」を救え!
先日、妊産婦の死因のトップが自殺だったというニュースがありました。妊産婦は子育ての不安や生活環境の変化などで精神的に不安になりやすいといわれています。妊娠すると血液は胎児に優先的に送られるので、母体は常に貧血状態になりやすいです。また出産時にも多量の出血を伴い、益々貧血状態は悪化します。さらに出産後は母乳を作るために多くの血液を消耗し、血液の絶対量が不足します(フェリチン検査してみましょう)。産後うつの状態を中医学的に考えると、はなはだしい「血虚(けっきょ)」が原因と考えられます。うつは気(き)が滞った状態。血を蓄え気の流れをコントロールしている「肝(かん)」と血を廻らし精神のコントロールを司る「心(しん)」が血虚になると、肝血不足により気滞を起こして些細なことでイライラしたり、憂うつになります。心血が不足すると血が全身に廻らなくなり、疲れ易く精神不安や動悸、不眠、眠りが浅く怖い夢を見るなど、ただでさえ授乳で寝不足になるのに、眠れず母乳も出にくくなり、育児が辛くなって普通の生活が困難になります。女性の健康は「血」と深く関わっています。特に、妊娠・出産は多くの血液が必要とされるので妊娠初期から「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」などの補血薬の常用をおすすめします。
読む
2016.07.21
“夏ダル”に潤いと元気チャージ
毎日の最高気温が軒並み30度を超えるこの時期、「バテているというほどではないが、重ダルさが続く」という〝夏ダル状態〟の方が急増しています。「夏はダルいもの」とあきらめている方も多いようですが、炎天下で走り回っていた子ども時代を思い出してください。中医学を上手に使うことで、元気に夏を乗り切りましょう。夏ダルの原因は、ズバリ「気(き)」と「陰(いん)」(元気エネルギーと潤い)の不足。暑い夏は大量の汗をかき、その汗と一緒に体内に蓄えた気が消耗されます[=気虚(ききょ)]。同時に湿度は高いのに、カラダが必要としている潤い[津液(しんえき)]も不足しがちに[=陰虚(いんきょ)]。中医学ではこの状態を「気陰両虚(きいんりょうきょ)」といいます。気と陰はお肌にハリと潤いをもたらしてくれるもの。美しさと健康を保つなら、気と陰を補うことをお勧めいたします。また、夏は高温多湿で湿気に弱い「脾(ひ)」(胃腸の吸収力)がダメージをうけやすい季節。過剰に冷たいものを飲み食いすると、冷えを嫌う胃腸はさらに弱る悪循環に陥ってしまいます。こうなると、食欲不振、腹部膨満感、軟便・下痢などの症状が現れ、夏ダルは加速して重ダルに発展します。気陰両虚を改善する代表的な漢方は「飲む点滴」とも言われる>「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」。湿邪(しつじゃ)から胃腸を守る「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」も取り入れて、夏ダル・重ダルを予防して夏も楽しく過ごしましょう。
読む